


今まで自分が弾きたい、自分が作りたいギターを作って来て、それを気に入っていただいた方の手に渡り、弾いてもらってきました。
初めて、プレイヤーの方から依頼を受けて、プランから一緒に考え、製作しました。
コンセプトは持ち運び、プレイアビリティ優先の小型ギターというものです。
小型と言ってもトラベルギターのようなミニサイズではなく、いわゆる3/4サイズのギターを作るというもの。ボディスタイルはGibson LesPaul Jr.で、その3/4サイズといったイメージです。
ヴァイオリンでもチェロでも3/4サイズというものは良く聞いていましたが、実際3/4とは何かあまり真剣に考えてこなかったのですが、この機会に調べてみました。普通のギターが100%として、では3/4サイズは75%サイズの楽器なのかというと、そうではなく、例えば650mmスケールをノーマルなスケールと考えると(クラシックギターやフェンダーストラトキャスターがほぼこのスケールサイズ)、それに対して583mmスケール程度のギターが3/4サイズギターとして販売されています。スケールの%でいえば、89とか90%程度のものを3/4と称しているようです。この3/4という呼び名は英語のクオーターの考え方からきているのだと思われます。実際の縮小率ではなく、要するに少し小さめの楽器という程度の意味でしょうね。プレイヤーの方と相談して、今回は22.5inch (572mm) スケールとし、ボディサイズはいくつか型紙を作ってみて、最終的に95%程度としました。22.5インチスケールは、フェンダームスタングやデュオソニックの一部の初期ショートモデルにみられたスケール、普通のムスタングやギブソンメロディーメーカーよりさらに少し短いスケールです。
opus03の特徴は、1ピックアップのギターが通常はリア(ブリッジ)側にピックアップが付くところですが、これはフロント(ネック)側に1ピックアップとなっている点です。
ピックアップはSEYMOUR DUNCAN Antiquity P-90 Dog Earです。
P-90特有のシングルコイルらしいパキパキした明確な音に、フロントの位置に特有の低音の豊かさ、柔らかさが加わった豊穣な音になっていると思います。こうした音色のために、ポットは300kΩ、コンデンサーもオレンジドロップの0.033µFのものを使っています。
プレイヤーさんの演奏されるアンビエント系の音楽にぴったりのギターになったのではないでしょうか。
普段見えないキャビティにopus03のエチケットを貼らせてもらいました。