我が家の四猫物語(5)
次第にあまりに強烈な夜泣きはなくなったもののYvesはいつもどこか淋しげにみえた。
アーペッペンはYvesと一緒にいる時間がどんどん減って、私のそばにいるか、どこかワードローブとかカーテン付のハンガーラックの奥の方に潜ってしまうかするようになってしまった。ダイニングで食事をするときにはYvesもアーペッペンも同じ部屋にいるのだが、それぞれ別々に、例えばYvesはピアノの上、アーペッペンは私の椅子の隣にいるといった具合である。
もちろん仲が悪いわけではなく、昼寝をするときなどソファーで二人がくっついて寝ることもあるし、ピアノの上でYvesがくつろいでいるとアーペッペンが寄ってきて、Yvesに軀をなめてもらったり、つくろってもらったりすることもある。たいていはYvesがアーペッペンにサービスするという感じなのだが。Yvesにとって愛は惜しみなく与えるものだが、アーペッペンにとってはひたすら奪うものらしい。さすが我が家の女王さまだ。
しかし、やはり何となくYvesが寄る辺ない感じがして可哀想だという思いがつのり、夜泣きもするし、夫婦で話し合って、Yvesのお相手を探そうかというような話題がのぼるようになっていた。そもそもケージ飼いだったせいか二人とも人に抱かれるのが好きではないのだ。アーペッペンは寝るときは私と密着して寝るのだが、昼間抱こうとするとすぐに逃げてしまう。Yvesはもっとひどく、ブラッシングは好きで、ちょっと長毛でよく抜けるので、手袋型のつぶつぶブラシで撫でられるのは大好きでこてんこてんしてブラシを要求してくるのだが、さて抱っこしようとするとひいー、もしくはきいーと悲鳴をあげて逃げてしまうのだ。妻は二人ともぜんぜん抱っこさせてくれないといってかなり不満げだった。
アーペッペン、Yvesが来て四年が経っていた。
なんとなく猫の里親募集を気にするようになって、ときどきウェブで検索するようになっていた。もちろんすぐに条件にぴったり合う仔が見つかるわけもなく、しばらく時は過ぎていった。
一昨年(2019年)の初春、ウェブで小さなサバトラというのか白っぽいサバトラの写真が里親募集ででてきた。何枚もある写真を妻と何度も閲覧する。すごい可愛い。小さい、可愛い。ツブラな瞳で可愛い。妻も私もすっかり気に入り、さっそく仲介の掲示板を通して連絡をとってみる。
何度も保護親さんとメールのやりとりをして、いよいよご対面ということになるのだ。
(つづく)
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